【福井】昔とは違う、現在の受験の本当のすがた【進学塾ダーウィン】

3月4日、5日に県立高校入試が行われました。

 

今年は藤島高校、高志高校の倍率がそれぞれ1.34倍、1.84倍であり、

 

例年のことながら高志高校においては特に狭き関門となっております。

 

藤島高校と高志高校を合わせると定員484名、受験者数728名なので実に244名の受験生が涙を呑むわけでありますが、

 

ここにおいて私は強烈な違和感を感じずにはいられなかったのです。

 

 

 

 

 

今と昔の違い

 

 

 

というのも、私が中学3年生で受験生だったころ、それは2001年3月、今から18年前のことであり、

 

30代以上の方はピンとくると思いますが、当時は藤島高校と高志高校は藤島・高志学校群でした。

 

その当時の藤島・高志学校群の定員は800名で、受験者数は約1000人ほどだったと記憶しています。

 

つまり不合格者数は200人程なわけです。

 

では今年はどうだったかというと、

 

藤島高校と高志高校の定員は高志中の90人を含めると574名、

 

そして不合格者数は前述の728名から484名を引いて244名です。

 

定員は800名から574名に200人以上減少しているにもかかわらず、

 

藤島・高志を不合格となる生徒の数は増加しています。

 

だから私は違和感を感じずにはいられなかったのです。

 

結局このことは、昔と今を比べると、中学3年生に占める藤島・高志を実際に受験する生徒の割合が増加しているということを表しているわけです。

 

 

 

 

違和感の原因とは?

 

 

 

では、なぜこのようなことが起こっているのでしょうか?

 

昔と今を比べると今の子たちやその保護者の意識が高いからでしょうか。

 

もちろんそれも理由の1つかもしれません。

 

しかし大きな理由は何かと言うと、ズバリ私立高校に合格しやすくなった(特進や進学の併願がとりやすくなった)からです。

 

福井県のホームページから「学校基本調査」という調査結果を閲覧することができるのですが、

 

この調査結果から県立高校に通っている生徒の数と私立高校に通っている生徒の数を調べることができました。

 

ここで閲覧できる最も古いデータは今から14年前のものだったのですが、

 

14年前に県立高校に通っている生徒の数は約20,000人で、今年は約16,000人でした。

 

つまり今年は14年前より4,000人減少したわけです。

 

1学年あたりにすれば約1,300人ほど減少していることとなります。

 

少子化の影響を考えれば当然の結果と言えるかもしれません。

 

では私立高校に通っている生徒の数はどうかと言いますと、14年前は約6,200人、そして今年も約6,200人とほぼ変わっていないのです。

 

私立高校のコース等が14年前と変わっているとはいえ、県立高校に通っている生徒の数がおよそ80%となっていることを考慮すると驚くべき結果と言えます。

 

このことから私立高校に合格しやすくなったことが分かります。

 

 

 

 

次に体感的な面からお話しさせていただきます。

 

私は受験生当時、北陸高校の特進の併願を受験しました。

 

私の当時の状況を少しお話しますと、私は大野市の中学校に通っており、

 

定期テストや確認テストでは常に5教科合計で400点以上取るような生徒でした。

 

もし今現在の高校入試の状況で、このような生徒が北陸の特進を併願するとします。

 

その場合、当日に何かアクシデントでもない限り100%併願合格するでしょう。

 

併願合格を逃すなどということは、本人も周りも想像することはないはずです。

 

しかし、当時はどうだったかというと、受けた私自身はまず100%合格するなどとは思っていなかったですし、

 

学校の先生からは「これで併願合格できれば藤島・高志レベルだ」などと言われておりました。

 

したがって、併願合格を知らされたときは、もしかすると今の生徒達が感じているかもしれない、

 

ただの通過儀礼を無事にクリアして良かったというような安堵感を感じたわけではもちろんなく、心の底から喜びを感じました。

 

このようなことは、福井の教育に携わる方たちや、もしかすると保護者の方たちも感じているかもしれません。

 

 

 

 

 

 

特進併願をとりやすくなったことによる弊害

 

 

 

このように今では、私立の特進併願を取りやすくなってしまったため、

 

「とりあえず私立高校の特進の併願さえとってしまえば、県立はチャレンジ」という風潮が、

 

最近では学校でも蔓延しているように思われます。

 

したがって前述のような事態となっているのです。

 

私立高校に合格しやすくなったという事実は、私立高校の学校経営のことを考えると、致し方ないのかもしれませんが、もちろんマイナスの要因も孕んでいます。

 

それは自明のことでありますが、特進のレベルが下がるということです。

 

私立高校が特進の質の担保に躍起になっている様は、北陸高校や福井高校のスーパー特進、仁愛女子高校のグローバルサイセンスコースを見ればよく分かります。

 

特進全体のレベルが下がることは受け入れつつ、一部の質を保つことにより合格実績等は見栄えを良くしようとしているわけです。

 

私の個人的な意見ではありますが、北陸高校のスーパー特進コースなどは、

 

そこに在籍している生徒たちに合った教育を提供しており、生徒の質も本当に高いと思います。

 

逆に言うなら、私立高校には中学生達に、もっともっとそういったことをアピールして欲しいです。

 

藤島高校や高志高校の現実を交えつつ、私立高校の現実をアピールしていただければ、

 

中学生達も近い未来の自分を想像しやすく、経済的な面と比較推量し、

 

その上で県立ではなく私立という選択をする生徒もいるのではないでしょうか。

 

私立高校の合格発表で、北陸高校をスーパー特進で合格した生徒が

 

そのまま北陸高校のスーパー特進に入るというような事象が多く起きることを私は心から願っています。

 

 

 

などとは言いつつも、私は3月12日の県立高校合格発表でダーウィンの塾生たちが私立高校に進学せずに済むことを心から願っております。

 

 

 

2019年3月9日

大学受験専門ダーウィン プリズム校

教室長 安川 大祐